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ジャグアタトゥーアーティスト 「プロ」の定義

みなさんは「ジャグアタトゥーのプロ」と聞くと、
どんな人のことを想像しますか?


絵やデザインのセンスがあって、描く技術がある人ですか?
施術サービスの対価として、料金をいただいて活動している人ですか?
数年のキャリアがあって、ジャグアに関する知識がある人、でしょうか。
サロン経営していて、ファンがたくさんいる人でしょうか。


このブログでは、
2008年からメヘンディ(ヘナアート・ヘナタトゥー)を業としてボディーアートに携わり、
現在はジャグアタトゥー用インクメーカーになった私の一個人の考察で、
自身の経験からのお話をします。


私が考える「プロ」とは、
自分の手、目、頭、足、を使って情報収集し、
あらゆる視点から比較検討・精査した上で、
確信をもって業に取り組んでいる人です。


技術が高いとプロ?


「絵やデザインのセンス、技術」についてですが、

仕上がりの美しさは、施術者の存在をオーディエンスにアピールするのに
絶大な効果があります。

特にSNSなどのプラットホームでは、
見栄えが良いものを良しとする慣いがありますので、
一般ウケするデザインを得意とする施術者は共感が得られやすく、
そこからお仕事へと繋がりやすいでしょう。

また、絵の巧さ、デザインの美しさは
世間一般から見ても優劣がつきやすいです。


当然、人気アーティストとなれば施術依頼も増えますし、
ジャグアタトゥーの収入が生活費の足しになったり、
サロンを経営することも可能です。

技術でお金を稼いでいるのですから、
「プロフェッショナル」に違いありません。

しかし、それ以外のなにか欠けている部分
(知識不足や、人を不快にさせる態度など)があると、
行く末は立ちいかなくなるのが見えます。


絵が上手いに越したことはないですが、
ジャグアタトゥーに関するデザインの良し悪しは、実際のクライアントが決めることで、
結果的に顧客が満足して対価を支払われば、それで施術サービスが成立します。


例えば、
・言葉で伝えただけなのに、イメージに近いデザインを描いてくれた。

・お守り的な意味合いのモチーフを、授けてくれた(←スピリチュアル系のなにか)

・アーティストの作画が好みで、その人が描いたものなら宝物

・気分を上げたい、もしくは落ち込んでいるときに元気がでるような意味合いの
デザインを描いてくれた。

といった具合に、
大切なのは、目の前のクライアントが満足かどうか、です。

この場合、施術者の人となりや、シチュエーションも大きく作用しますので、
絵が上手い、技術がある事だけが必ずしも重要ではないケースもあります。


ジャグアタトゥーのプロが選ぶインク

では、私が先に挙げた、プロの定義の

「あらゆる視点から比較検討・精査した上で、
確信をもって業に取り組んでいる人」について。

どんな視点で、何を比較検討する人を指しているのかご説明します。


例えばここに、夢のようなジャグアインクがあるとします。

  • 描いてすぐに乾く
  • 間違えても、拭き取れば何度でも描き直せる
  • インクの浸透時間は数分
  • 洗い流したら、すぐに発色
  • 色持ち1ヶ月くらい
  • 濃紺だけではく、カラーバリエーションがある
  • 安くてコスパ最高
  • 常温保存可能で、絵具のように急な劣化はしない


こんなインクがあったら良いですよね。
実際にすごく売れると思います。

しかし、本物のジャグアを使用すると、
上記のような性質の製品は作れません。
あるとしたら、「ジャグアタトゥー」と名のついた
なんらかの成分で作られたボディーアート用品に分類されます。



それに引き換え、JAGUA JAPANのインクときたら、
こんなに使い勝手が悪いのに、
今では多くのジャグアタトゥーアーティストにご利用いただいています。

  • インクが乾くのに2~30分
  • 間違えて描いたり、予定外の部位にインクがついただけで後ほど発色してしまう。
  • インクの浸透時間は4時間〜
  • 発色は24〜48時間後
  • 色持ちは1~2週間
  • 濃紺一色。濃淡でグラデーション効果をつけれるくらい。
  • 15ml(目薬サイズ)で2860円、送料も入れるとなかなかの値段。
  • 常温保存不可で、冷蔵3週間、冷凍6ヶ月。ナマモノのような扱い。
  • 劣化で発色効果が低下する。見た目でわかりづらい。

結論からいうと、上記の夢のような「ジャグア」インクは、
私が知る限りでは「ジャグアインク」ではありません。

最近では海外の販売者から個人輸入して入手することも簡単ですので、
気になる製品があれば、いろいろ試してみるのも良いと思います。


・使いやすさ
・安全性
・コスパ
・信頼性
など、一通り考えて、そのうえでベストを選ばれるのはどうでしょうか。


ちなみに私は、ジャグアタトゥーを知った当初、
安全性、整合性を踏まえて、海外で市販されているものを、
日本でボディーアート用として使用できるジャグアインクは
「ない」と判断し、
その結果、紆余曲折を経て、自分で作ることになった、というわけです。

絵が不得手だとプロになれないか

ジャグアタトゥーを始める前から、
絵を描くことが好き。子供の頃から上手と褒められていた。
デッサンが得意で、立体的に捉えることができる。
模写なら描ける。

といった、いわゆる「絵の才能」のある人は、
ジャグアタトゥーの分野でも非常にアドバンテージがあるのも事実です。


では、こちらをご覧ください。
これらは、私がヘナタトゥーを始めた当初(2007~8年頃)の画像です。
ヘナタトゥーは基本的にフリーハンドで施術します。

今思えば赤面もので、大変未熟でした。
それでも臆することなく、「楽しんで」続けていたのが
今日につながっているのだと思います。
今ではこれよりちょっとはマシです。

当時はお世辞でも「お上手」とは言えないレベルでしたが、
プロ意識はありました。

ボディーアートのプロ意識

製品に疑問を抱き、不信感が募る・・・・

私がヘナタトゥーを始めた当時は、
市販のヘナペースト(海外製の派手なパッケージで売られているもの)
いわゆる「ブラックヘナ」と呼ばれる製品の安全性を疑うユーザーが増え始めた頃でした。


ジャグアタトゥーの話と逸れますが、
こういった市販のヘナペーストは、
ユーザーにとって、非常に都合が良い製品に思えました。

・黒や濃い茶色に染まる(ナチュラルヘナは明るいブラウン〜オレンジブラウン等です)
・どの部位に描いても、均一な発色(角質層の厚さ、薄さに比例しない)
・すぐ乾く
・剥がすとすでに発色している
・カラーバリエーションが豊富
・安価(現地価格で、1~3ドルくらい)


今日のジャグアタトゥーアーティストと異なる点を挙げると、
伝統的な手法でヘナアートをする人は、
ヘナパウダーに、レモンやユーカリオイルなどを加え、
それぞれの工夫でペーストを自作しています。

自分や知人、クライアントにできるだけ安全性の高いものを
使用したいと思うのは自然なことです。

そこで、ナチュラルヘナから作られたペーストが、
あの市販のヘナペーストのような効果をもたらすことが不可能と
すぐに気付くのです。


市販で売られているヘナペーストに何が含まれているのだろう・・・。
パッケージには「ナチュラルヘナ100%」と明記しているものもあります。
製造国の法律で、成分の全表記が義務付けられていないと
内容成分が全て表記されません。



メヘンディ(ヘナアート)からボディーアート業を始めた人は、
自作のペーストを使用することが基本の基本でしたので、
売られている製品の品質や成分に対して厳しい目で見る傾向があります。

ジャグアタトゥーに関しては、
生の果実は原産国もしくは周辺国でないと入手できないこともあり、
伝統的な方法でインクを自作するのは非常に困難です。

(パウダーを使用して自作することは出来ますよ!)


日本では「化粧品」に分類させる製品については
成分の全表記が薬機法で定められています。
言い換えると、化粧品に分類されない「雑貨扱い」の製品には義務付けられていません。

こういった其々の国のグレーゾーンが内容成分不明の製品を生み、
また個人輸入が気軽になったのもあり、
誰でも簡単に「都合のよい」製品を手にすることができてしまうのです。

ボディーアート業のグレーゾーン


安全性が低い製品が世界中のユーザーに渡るスピードは、
伝統的な手法で作る、自然なブラウンに染まる自作のヘナペーストのニーズをはるかに上回ります。

結果的に、ブラックヘナの弊害などの健康被害が広がり、
ヘナタトゥー=危険 という図式が、一般的に形成されます。

これは今日のジャグアタトゥー界隈にも同じことが言えるでしょう。

髪を染めるには国家資格(美容師免許)が必要なのに、
肌を染める行為自体は美容行為ではあるものの、
国家資格は必要ありません。

今後、ボディーアートのグレーゾーンに行政のメスがはいり、
まつ毛のエクステの施術のように国家資格が必要になる可能性はゼロではありません。

ボディーペイント(染まらない)はOK、
ヘナタトゥー、ジャグアタトゥーなど、浸透させて発色するものには規制が入る、
ということもあり得ます。


そうなると、ジャグアタトゥー等のボディーアートを業とすることへの敷居がぐんと上がります。

そもそもボディアートはファッションとしての位置付けでしたので、
ニーズがあったとしても、生活に必要ではありません。

その結果、日本でのジャグアタトゥーやヘナタトゥーは
何らかの規制が入ると、この分野において容易く衰退していくと想像しています。


「消えるタトゥー」「痛くない」といった利点とファッション性が相まって
ジャグアタトゥー施術サービスの需要と供給が一時的に底上げされることはあっても、
プロフェッショナル思考の層が同時に増えなければ
業界発展の途上の危険を孕んていることになります。





自分だけでジャグアタトゥー楽しむなら、なんでもいい?

はい、何でもいいと思います。

私は先ほどから、
皮膚につけるジャグアインクの高いプロ意識について講釈垂れていますが、
口から入る食事ひとつでも、
健康志向の高い人から、あまり食に興味のない人もいます。

それと同じで、肌に数日間塗る製品に対して、普通そこまで考えないでしょう。
インクが使いやすいか、よく染まるか、入手しやすいか、色持ちがいいか、コスパか、
人気があるか、よく売れているか、で選ばれるんじゃないですか。
ごくごく普通の感覚だと思います。


結局、リスクを含め、ご自身が納得していれば、なんでも良いのだと思います。

ただ、メーカーや販売店は、「なんでもいい」層で、
特に使用前に比較検討しない大半のユーザーのためにも、
クレーゾーンに感けて「自分達にとって都合の良い」製品を製造販売することは非常によろしくない。

こればかりは、サプライヤーやメーカーの理念、
ビジネスのやり方に左右されますので、
これらに関わるすべての業界がより良くなることを願うばかりです。


ですので、他者に施術しない人=プロではない とは思いません。
なんでもいい(特に気にしない)人が、ノンプロではないでしょうか。

SNSに施術画像をアップしたら、施術依頼がくる?

はい、おそらく、「来ます」

あなたの親しい友人や、身近な人が「描いてほしい!」とお願いしてくるでしょう。

ジャグアタトゥーにちょっと興味があっても、
わざわざ時間を割いてサロンを予約したり、
イベント出店で並んだりしません。

知っている人だと、心理的にも抵抗感が薄らぎますし、
あなたに描いてもらえるなら、とお願いしやすいからです。

多くのプロのジャグアアーティストの最初のきっかけはこれじゃないでしょうか。

友達や知人に描いてあげる、そのまた知り合いも描いて欲しいと依頼される。
施術に対する対価として、食事を奢ってくれたり、
またはお金で支払おうとする人も現れます。

この時点で施術者であるあなたには、あらゆる責任感が芽生えてくるはずです。

・綺麗に描いてあげなくちゃ
・しっかり説明しなくちゃ
・安全性の高い製品を使用しなきゃ

そう感じ始めたら、ジャグアについて学びの機会が訪れたと言えます。

学ぶことによって、
悪いもの、不必要なものを捨てて、
よいもの、必要なものを選び取る取捨選択ができるようになります。



ジャグアジャパン協会の「プロフェッショナル学科」のご案内

最後の最後で宣伝となって心苦しいのですが、
日本で唯一、ジャグアタトゥーに特化した一般社団法人JAGUA JAPAN協会をご存知でしょうか。

理事長を務めるわたくし(株) 栗清デザインの和田は、
実際に自分でジャグアフルーツの原産地へ出向き、
パナマ共和国ダリエン地峡に生活拠点のあるサプライヤーファミリーとのお付き合い、
また、世界中にいるディーラーと活発な交流や意見交換、情報共有をしています。

プロフェッショナル学科の内容は、
私のジャグアに関する知識の集大成、多岐に渡る情報、
ビジネスの倫理観や、薬機法、著作権について学べます。

テキストの巻末には、ジャグア施術をする上で必要な、
「ジャグアタトゥー施術に関する注意事項・同意書」のサンプルもございます。


もし、プロ意識をもってジャグアタトゥーをやりたい、
もしかして、ジャグアタトゥーについて知らなさすぎる??と不安になられたら、
ぜひ、下記リンクをクリックして概要へとお進みください。


JAGUA JAPAN

ジャグアジャパン協会HP

協会概要、入会ご案内はこちら

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